♪子供を飲み込む 物の怪のタンス
♪屋根裏に潜む 物の怪でヤンス
あー
ついに電気グルーヴとの共演でヤンス!
もーー
みんな武道館で夢のようなダンス!!
あ、すいません、取り乱しました・・
以前に大槻ケンヂさんの『グミ・チョコレート・パイン』を紹介した回で、ヒダカがギターで参加した『少年ヤング』について書きましたが、今度は・・ついにライブでの共演なのです。(すげー)高校時代の自分に自慢しに行ったら、気絶するか失禁するか号泣するか失踪するでしょう。。
そう、その電グルですが、先月リリースされた『モノノケダンス』聴きましたか?? いま夜中にやってるアニメ『墓場鬼太郎』のオープニングテーマなんですが、ジャケットが水木しげる氏! これまたスゴイでヤンス。

てなわけで今回は水木さん繋がりってことで、近頃やたらとクボリカワの中でアツイ、ひとりの実在した豪傑、<南方熊楠>を紹介したいと思います。

よくご存じの方もいらしゃると思いますが、「熊・・? ナニソレ?!」って方のために。<ミナカタ・クマグス>(人名ですよ)は江戸の終わりから昭和に生きた、和歌山出身の博物・生物・民俗学者として日本はもとより世界的に広く知られている人で、特に「粘菌」など菌類の研究では余りに有名であります。「粘菌」ってのは「♪風の谷のナウーシカー」で、ナウシカが地下室で育ててたかわいいアレです。
そもそも「学者」っていうと堅いカンジしますが、熊楠がスゴイのは粘菌やキノコ・藻・昆虫といった生物に留まらず、霊魂・密教・夢・身体・性(セクソロジー)・人肉食だったりとジャンルに捉われること無く、この世あの世の森羅万象を、紀州の原生林から世界のあちこちにまで探し求め続けたことです。ここにクボリカワは事強く惹かれるのです。
とにかく学者のイメージとはかけ離れた(見た目もしかり)豪快かつ驚異的な天才で、小学生の時には100冊を超える本を人の家で見せてもらったものを家に帰ってすべて記憶のみで書き写したり、海外の文献を元に自作の教科書を作ったかと思えば、植物を採りに山へでかけ何日も行方不明になったりします。
15歳になると単身上京、現・東京大学に入り(同期には夏目漱石や正岡子規!)、19歳で、まだ渡米など物珍しい明治の世にアメリカに留学。しかし寄宿舎での酒宴が問題となって、級友を庇うカタチであっさりと学校を去り、その後フロリダやキューバまでサーカスの一団でバイトをしたりしながら独学の放浪を続けるのです。
25歳でロンドンに渡ると、懸賞論文を書いていきなり一位を取り、それがイギリス一の科学雑誌に掲載され「ミナカタ」の名が一気に知られることになります。その驚異的な知識量により、なんと大英博物館の調査員にまで抜擢されます(なのに通勤スタイルは袈裟を着た僧侶姿という道化っぷり)がしかし、当時まかり通っていた東洋人への蔑視に我慢ならず、ケンカ騒動を繰り返し(なんと自由自在にヘドを吐きかける特技を持っていたらしい・・!)、しまいには博物館を追放されてしまいます。
資金困難の為泣く泣く33歳で帰郷するも、また山野に出入りを繰り返し収集に奔走します。四六時中、半裸に近い格好で過ごしてたいたため、よく天狗と間違われ驚かれていたらしいです(うちのマシータみたいなもんすね)。そんな野人的でありながらも、熊楠は優に19カ国語(猫語・幽霊語も解したという逸話も)の言語を操ったと言われています。
数年後、熊楠は明治政府が強行した「神社合祀」(国家の権威を高めるため、数ある神社を廃し、一村一社にする)に大反対運動を巻き起こします。鎮守の森を切り崩し、人と自然の調和を破壊してしまうことがどれだけ危険か、という生態系視点から、今でこそ良く耳にする「エコロジー」を日本で初めて提唱したのが熊楠なのです(これも『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』で通底してるテーマですね)。まさしく熊野古道はのちに世界遺産として登録されることになります。
また、他に類を見ない熊楠の粘菌コレクションの噂を耳にした、かの昭和天皇が、なんと和歌山まで会いに来ることとなるのです。当時、天皇という存在は「神」と等しい(そのお姿を一目見んと集まった観衆、その数5万人!)にも関わらず、熊楠は標本をよりによってキャラメルの箱に入れて献上したのです。のちに昭和天皇はそのインパクトを忘れられない、と語り、30年後再びこの地を訪れた際に「雨にけふる神島を見て 紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」という、初めて一民間人を詠んだ歌を残したのです。
そんな熊楠は晩年まで止まることなく活動し続け、実に40種以上の新種の粘菌を発見し、藻類のプレパラート4,000枚、粘菌標本7,000点、500種・1万5千枚の彩色図譜を完成させるという偉業を成し遂げたのです。
そう、まさしく南方熊楠こそ物の怪なのであります。
とまぁ、書き上げるとキリがないくらい型破りかつ破天荒な業績とエピソードに事欠かない人物なのですが、天才ながらに大酒のみで気性が荒い、という性質も、極端にシャイで私利私欲を嫌ったが故の裏返しなのかもしれません。そんなもっとも人間らしい人くささも熊楠に夢中になる理由なのでしょう。。
「物」と「心」の接触によって生ずる「事」を学問の対象と掲げ、人間界でも自然界でも、みえないところで全ての生命が繋がっている、という熊楠の考えを自分も少しでも実践していけたらな、と思う今日この頃であります。
この『猫楠』を読むだけでも、あなたの意識の行き先は全方位的に拡がるでしょう。そこから何処へ向かうかはあなた次第なのです。

*冬の山中、半裸でくわえ煙草。
クマグスはこんなステキな人なんです。

*ちょうど、つじあやのちゃんのレコーディング中に通っていたスタジオの近くでたまたま開催されていた『クマグスの森』展。行かない訳はないってことで、レコーディング終わったその足で即入館。生前彼が使用していた日用品や写真、そして所狭しと並べられたホンモノの標本や図譜を目の当たりにして、感慨もひとしおでした。。
http://www.watarium.co.jp/exhibition/0709kumagusu/index.html

*ってことで勢い余って買ってしまいました。
でもカッコイイのです。
*こちらはクボタが絶賛連載中のPHaT PHOTOにも書いていますが、去年12月に和歌山でライブをやった際、立ち寄った県立近代美術館で開催されていた『森の中で』展。熊楠を生んだ紀州の森をテーマに7人の異なったジャンルの作家が個性豊かな作品を出展していたのですが、主題もハッキリしていたし、人と自然の共存を具体的に考えさせられたとてもスバラシイ展示会でした。特に、実物の生きた粘菌に電極を取り付け、その微細な生命電流をMacintoshによって変換した音は、今まで聴いたこともないような音楽でした。
http://www.bijyutu.wakayama-c.ed.jp/exhibition/morinonaka.htm