ロードショウも終わり近くになって、やっと 『デスノート』 のスピンオフ作品である『L change the WorLd』を見て来ました。
(タイトルで"WorLd"と、WとLが大文字なのは、ワタリとLにかけてあるのです。)

本編後編(『デスノート The Last Name』)の終盤で、自らの命が23日後に尽きるよう定めてしまったL(松山ケンイチ)が、最後の日々に解決したもう一つの大事件、という物語。 監督は、『デスノート』本編の金子修介ではなく、中田秀夫。 脚本も、大石哲也から小林弘利に替わっている。

タイの小さな村の消滅に端を発したバイオテロ事件。その村で、ただ一人生き残った少年・通称"ボーイ"(福田響志)と、細菌の研究者である父を目の前で殺された少女・真希(福田麻由子)。 ワタリ(藤村俊二)亡き後、この二人の子どもを相次いで保護することになったLが、自分の残り短い命を掛けて二人と人類の未来を守るために奔走する...、という物語。

今回の最大の敵はLの同業者?のK(工藤夕貴)なのだが、物語の中ではほとんどKは頭を使っていない。 加えて、敵方の面々が揃ってのっぺりした演技になってしまっている(役者の技倆というより、演出の失敗だと思うのだが)。 そのため、『デスノート』本編のような、パズルのようなストーリー展開と脇役に至るまでの個々の登場人物たちの思惑の絡み方のドラマを期待すると、肩すかしを食ってしまうような映画。
しかも、今回のストーリー自体は、デスノートとも死神とも関係は無い。

と、いうわけで、『デスノート』本編が素晴らしかっただけに、諸手を挙げて他人に推薦できる出来とは言えないなあ、と思ってしまう。

それでも、僕はこの映画を個人的には大変気に入った。 というのも、松山ケンイチと福田麻由子の熱演に思いっきり惹き込まれたからだ。 この2人の演技を見ているだけでも、十分に楽しめた。
肉体運動と人間関係が極めて不得意なLが、2人の子どもを守るために なりふり構わず動き回る姿には、見ていて思わず感情移入してしまったし、過酷な運命に押しつぶされそうになりながらも、最後に父の復讐を思いとどまる真希の声には大人もかなわないような説得力があった、と思う。

最後に、ボーイを孤児院に預ける際に、Lはボーイに名前をつけていくのだが、この名前が原作ファンには 馴染みのあるものであるところは、ちょっと胸が熱くなった。 映画版では、こういう形で、次の世代に希望が託されていく、という結末にしたのだな、というのは、(ま、とって付けたような感じはあるものの)心憎い。

福田麻由子は、パッと見が田中麗奈みたいだなあ、と思ったら、未見だが『犬と私の10の約束』では田中麗奈の少女時代を演じているとのこと。 そうだよなあ、一人の人間の成長を福田→田中とつないだら、きっと違和感なく繋がるだろうなあ、と思うくらいに似ている。
プロフィールを見ると、福田麻由子は既に相当な映画・テレビ出演の経歴があるようだ。 ドラマ『セクシーボイスアンドロボ』で松山ケンイチとコンビを組んだ大後寿々花といい、この福田麻由子といい、若いのに(昔だったら"子役"で片付けられていた年代だ)演技力もキャリアも大人にひけをとらない役者がドンドン出てくるのは、凄いことだ、と改めて驚いてしまう。
とにかく、今後の活躍に大いに期待してしまう。

ボーイをLの元に送り出すF役の波岡一喜は、最近よく見る役者さんですねえ。 この人の今後の活躍も気になるところ。

『チーム・バチスタの栄光』では、わかりやすいくらいに俗物な医者を演じた平成泉は、今回は打って変わってワクチン開発に奮闘する凄く"いい役"。 この人も、最近どこにでも出てきているような気がするなあ。