この度、PLAYLOGのシステム不具合により
新しいブログシステムに変更となりました。
「桜井秀俊 続・あんた最高だ!」
http://6109.jp/sakuraihidetoshi/
これからも「桜井秀俊 続・あんた最高だ!」をよろしくお願いいたします。
先日開催いたしましたよ。秋の桜井ソロライブに向けたバンドメンバー決起集会。19時に同級生Kの切り盛りする近所のバー「フラワーマン」に集合。乾杯。よろしくーなんて言いながら酒おかわり肴おかわり。あっという間に鉄道の営業終了時間を超え、気がついたらメンバー全員我が家のリビングに。とどめの缶ビールをすでに奈良漬と化した体内に流し込む面々。
昔から、そう、昔から決めていたのです。一郎くんには我が家の敷居をまたがせまいと。その心は、そう、酒癖があまりよろしくないから。酒癖とひと口に言ってもいろいろ症状がございますが、一郎くんの場合は要するに、はしゃぎすぎてしまう癖。楽しくなると己を制するという心が完全にお留守になってしまう傾向が著しいのです。一般的には人は年齢とともに落ち着くものですが、一郎くんの場合は若いまま。ステイヤング。もちろん、ネガティブな意味で。おんもで呑んでいるぶんには最高なのですが自分の家でヤング爆発は御免こうむる、長年の友人とのそんな距離を貫いてきた私。とはいえバンドの決起集会で一郎くんだけタクシーに放り込んで帰すわけにもいかず、こちらも酔ってガードが緩んでいたこともあり不覚にもまたがせてしまった我が敷居。
案の定、声の音量を落とすということができない、転がっている子供のおもちゃを首藤くんに投げ続ける等のヤングっぷりを発揮。美代ちゃんにセクハラでも始めたらどうしようかと心配しましたが、終始美代ちゃんはお母さんのように一郎くんを叱咤。早くも頼れる存在となっておりました。
そんな頼れる存在が帰ってしまった午前3時半過ぎ、上野 free一郎さんのたまうことには、
「桜井くん、アイスコーヒーある?俺、寝る前に必ず飲むんだけどさあ。」
驚きました。このひとはどこの大女優なのでしょうか。どうしてあたしがあなたの毎晩就寝前に口にするものを用意しておかなくてはいけないのでしょうか。寝る前にカフェインってのもなんかおかしいし。なのに、心のどこかで出さないと申し訳ないような気になっている自分。そんな自分がたまらなく嫌になりながら、とりあえず冷蔵庫を覗く俺。アイスコーヒーなどないのは知っていましたが、代わりになるような何かはないかと。長女が冷やしていたと思われる紅茶花伝がひと缶あったので、
「缶のミルクティーしかないけど、それでいい?」
「ああもう、全然OK 。ごめんねー。」
首藤くんはすでに床で死体のように眠りについている。氷とグラスを用意して缶を開け、一郎くんに差し出す。
10分後、ひと口つけたかつけないかの紅茶花伝を横にそのベーシストはこれまた死体のように眠りについたのでした。翌朝の、紅茶花伝を楽しみにしていた長女の怒りを想像してはもみ消して、眠って忘れようとばかりにあたくしも3体目の屍と化したのでした。
あろうことか、そのまま正午まで眠り続けた3体の屍。
赤ちゃんのようにぐーぐー寝て、40過ぎの男たちはそれぞれの場所へ帰って行ったとさ。
なんでしょう。文章では語りつくせない面白さがその夜にはあったのですが、こういう、なにか新しいことを始めようかという人間たちが集まった現場は、ライブで垂れ流したほうが面白いのでしょうか。USTREAMとかで。どうやりゃいいのかよく知らないのですが。TWITTERとかで皆さんにつっこんでいただきながら。それがそういう趣旨のものなのかよく分かっていないのですが。
とりあえず、9月1日に再び4人集まって音を出すことに決めました。初の音出し。果たしてどうなるのか。首藤くんは何をするのか。ミュージシャンひとりひとりはわくわくするような不安になるような複雑な気持ちを抱えてスタジオに赴くものです。こういうのって、せっかくのインフォメーションテクノロジー時代、生でダラダラいかせてあげてもいいのかな。気のきいた編集もお洒落なカット割りもなく、ただただ、今から起る事を生でダラダラと。そんなのみんな面白いのかな。どうなんでしょ。
どうなんでしょ。
やはりこの世で最もかっこいいのはミュージシャンという人種ではないでしょうか。その中で歌い手というこれまた特殊な存在は別として、最強と言えるのはやはりギターだと思うのです。ギタリスト最強説。
満を持して発売されました文楽三味線鶴澤清治さんの新譜、題して「一撥一心」。あえてギタリストと言ってしまいましょう。文字通り日本の宝、人間国宝鶴澤清治!義太夫節におけるサウンド部門のおいしいとこ満載な全22曲。販売促進のためだか知らないが変なストリングスとか入れるなんて小細工一切なし!From三番叟to the野崎村、頭っからお尻まで太棹の極意が堪能できる1枚となっております。こんなのを聴きたかったのよ。ものすごくマニアックな音源ですが、歴史的な1枚です。聴く用といつかサインもらう用の2枚を手に入れました。
先日のクラブクアトロにおけるスーパージャンキーモンキー。トリオとなって復活した自称熟女バンドの迫力サウンド、かっこよくて泣けてきました。しかしギターの話となるとゲストで出ておられたこれまた久々に観させていただきましたバッファロードーターの、とりもなおさずシュガー吉永さん!小さな体にサンバーストのストラトをぶら下げ、マーシャルをがつんと鳴らすハードボイルドスタイルは健在。萌え、とはこういう気持ちのことをいうのでしょうか。膝から崩れ落ちました。
1990年ごろ、渋谷のLa-mamaでフィッシュマンズとバッファロードーターの前身バンドであるハバナエキゾチカという最高にクールでハードな女性ファンクバンドとで対バンさせていただいたことがあります。そのときからのシュガー信者。リハーサルで聴いた彼女のギタープレイにあえなく昇天。生まれて初めて女性の靴を舐めたいという衝動が湧き上がったことを覚えています。あれから20年余り、同じ気持ちにさせられた40過ぎの俺。シュガーさんありがとう、俺の中のクレイジーをまた蘇らせてくれて。
遡って7月末のフジロック。雨の夜更けの山中で目撃したロックンロールレジェンド、サンハウス。凄かった。濃かった。黒のタイトなパンツに上半身裸、真っ赤なロン毛に目張りぐりぐりの柴山俊之さん。イギー・ポップとかを超えて赤鬼か獅子舞いかはたまたなまはげなのか、とにかくこの世のものとは思えぬ妖気で次々とロックンロールを観客に投げつける。そして、そして、ギターはそう、鮎川誠さん!降り続ける雨の中、ビンテージの黒いレスポール・カスタム(小生も僭越ながら愛用)を二台のマーシャルでずぎゅーんと鳴らしまくる。ひっきりなしに。通常野外の雨の現場だと、ただでさえ湿気に弱いギター、ましてオールドのそれはそれなりのダメージを受けるため使用をためらうもの。それが鮎川さんときたら、
「別にー。」
とばかりにずがーんずぎゅーん。けっこうなクルマぐらいの値打ちがする楽器を雨に打たせてずがーんずぎゅーん。This is rock!恐れ入りました。
加えて鮎川さん、立ち位置であるステージ上手にほとんどいらっしゃらない。ではどこへ?そう、センターへ。たまにコーラスのために立ち位置に戻っても歌い終わればまたすぅーっとステージ中央へ吸い寄せられていく。客席から見て右側はほぼがら空きの状態。王シフトの逆。広島の山本浩二さんが現役時代に敵に敷かれたシフト。古すぎますか。何度、
「また寄っちゃってますよー!!」
と叫びたくなったことか。しかも、ソロでもないのにちょいちょい前に出てきて、更にまたセンターにすいーっと吸い寄せられ、完全に柴山さんを塞ぐかたちになること一度や二度じゃなかったですよ。鬼の形相のボーカルにふらりと平気でかぶるギタリスト。しびれました。ものすごくひやひやもしましたが。
ライブ後、同パフォーマンスを目撃していたビクターの重鎮T氏と酒呑んでサンハウストークで盛りあがる。レコード会社のディレクターが見た’70年代の日本のロック話をたくさん伺いました。貴重なお話の数々、ありがとうございました。今年の5月に行われたサンハウスのツアーを収録したライブDVD「金輪際」でそのヤバさはたっぷり堪能できますよ!
「ロックンロール!」
そう叫ぶ若いミュージシャンはいっぱいいますが、自分も含めて、先輩ロックンローラーが放ちまくっていた悪の色気といいますか甘く危険な香りといいますか、そういった媚薬みたいな影がどうしたって足りない。その器でない、またはそういう時代に生きているというだけの話かもしれませんが、だとするならそんな影をまとう先輩の生のプレイをどうしても浴びておかなければいけない気がするのです。その姿勢が真面目だっつーの!と赤鬼先生に叱られそうですね。すいません、これぐらいにしておきます。
だけど俺の黒いレスポールだって、今日もやっっばい音しているんだぜ。
このたびはサーバーの事故によりご迷惑をおかけいたしました。書きたいことは山盛りであったのですが、裾野から忘れること流れる砂の如し。大事なことから記しておきましょう。砂の山が波にさらわれなくなる前に。
ええ、男・桜井この秋ワンマンショーをやらせていただく運びに相成りました。桜井秀俊ソロ名義での単独ライブ。これは、事件であります。世間的にそうでなくとも、我が人生にとっては節目といって過言でない大事件。さあ、どうしましょう。
数年前に「花は桜木男は桜井」というYo-Kingさん命名のあたくしが終始歌唱を担当するというライブは敢行いたしました。しかしながらそれはあくまでも真心ブラザーズとしての異色なライブという位置づけであり、“桜井を追い込むYo-King”という成分が大事な要素として存在するショーでした。
今回は完全なる桜井ソロ。ステージというパレットに使われるのはオンリー俺色。リリーフ禁止の完投試合。もつのか、間。もたせられるのか、俺。
とにかく友達に助けてもらわないととてもじゃないけどやってられません。すぐさまお願いしました。そう、首藤くんと一郎くんに。持つべきものは友ですな、快く承諾してくれましたYo!これでこの危険な旅に助さんと角さんを得た俺はさしずめご隠居さん。隠居しちゃだめですか。Yeah、俺ら旅する天下の副将軍、伸びるグンググーーーーン!さあ、SRサイタマノラッパーからの引用も決まったところでそうきたら欲しいのは由美かおるさん役。Detroit7よりMIYOちゃんをドラマーに迎えました。八兵衛と矢七は予算の関係上今回は見送りに。この3人の力を借りて季節の変わった秋の夜長、渋谷・大阪・横浜に乗り込みます!
で、何をやりましょう。
いまのところ頭を抱えている問題は大きく分けてふたつ。
ひとつは、歌いたい歌が多すぎて、やってみたいことが多すぎて、自分が何を一番やりたいのかわからなくなっているということ。そりゃ問題ですわな。ですよね~。なんせ40超えて初ソロワンマンですから、たまった内なるマグマが熱も量もおびただしくって。「やりたいこと」が「やるべきこと」を完全に呑み込んでしまい、正しい判断が出来ない状態で俺、今、生きています。
ふたつめ。水戸黄門理論でキャスティングしてしまったため、首藤くんの仕事をどう割り当てるべきか、早くも音楽的に矛盾が生じていること。すなわち。MIYOちゃんはドラムで一郎くんはベース、これは音楽を支える屋台骨としてごく自然に必要とされるポジションであります。次に必要なのはまあ、ギターですかね。それはあたくしが頑張るとして。その次に必要なのは何かと問うならば、キーボードとか、もう一本ギターとか、音楽の種類によっちゃあパーカッションとか。つまり、首藤くんの専門であるアルトサックスという楽器は、少ない楽器編成のバンドの場合優先順位としては後ろに回されがちな楽器であり。あえてサックスを一足飛びに投入する場合は、あらかじめ個性的なバンドサウンドを最初から狙ったケースが多く。チェッカーズしかり、バービーボーイズしかり。今回の桜井バンドでいうと、正直、全ての曲にアルトサックスが必要かというとそうでもなく…。そこを「えいやっ!」と全曲にサックスソロを設けると、サックスソロのインフレを起こすであろうことは火を見るより明らかであり…。
人間的にはどうしても必要なんだけどなあ、首藤くん。音楽的にはなあ、サックスソロはいいとこ3曲かなあ。いっそ夏のあいだにギター覚えてくんないかなあ、首藤くん。
ひとりで悩んでいても仕方ありません。助さん角さん由美かおるさんを呼んでひとまず宴会を近々開くことにいたしました。巨大な二つの問題を呑ミュニケーションによるブレストでぶっとばしてやろうと。吞み会が盛りあがることには、揺るぎのない自信があります。そんな自信は必要ないですか。そうですか。
詳しい日程等は、真心ブラザーズのホームページにアップされております。不安要素ばかり並べたあとになんですが、皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げております。大丈夫、きっと大丈夫!歌う桜井この秋爆発!まずはジャイアン並みの自信をこのハートに!!
なんかあったらまたご報告いたします。
この秋、真心ブラザーズがお世話になっておる株式会社Sony Music Artists通称SMAがドでかいイベントを計画しております。10月17日渋谷ジャック。つまり、この日やれCCレモンホールだクアトロだAXだエッグマンだなんだいろんなホールやライブハウスをSMAが予約しちまって、所属のミュージシャンばっかりが渋谷中で演奏している状況にしてやれ、と。イベントタイトルはずばり「ベストヒット☆SMA」。
楽しそうだねと思いました。
イベントのテーマソングを作る事になったと聞きました。
いいじゃないのと思いました。
そんな話を聞いた春の日から数週間後、真心ブラザーズマネージャーK山Tもつ氏が僕にこう言いました。曰く、
「秋の、イベントの、テーマソングのプロデューサー、制作会議で満場一致で桜井に決まったから。」
まあ、ご指名いただいたのはもちろん光栄ですが、ただ、大変な何かが隠されているような。もちろんあたしごとき断る立場にございませんが、詳しい話を聞くことに。すなわち。
なるべくたくさんのアーティストが関わった一曲として完成させたい。そのまとめ役が、俺。完成した曲はちゃんとレコーディングしてWeb上で制作過程の映像とともに公開。イベント本番にむけて盛り上げていきたい。具体的には、まず若手バンド3組にそれぞれ1曲ずつメロディーを書かせ、出来上がった3曲のいいところを継ぎはぎして1曲に仕上げる(当然、俺が)。次に、つながったメロをもとに4人のアーティストに作詞を担当させる(指名権は、俺に)。スペシャルバンドを結成し、彼らの演奏に乗せて、イベントに参加する出来る限り多くの歌い手にかわるがわる歌わせる。イメージは、「We are the world」。
なるほど、理解しました。
理解とはすなわち、これは大変なプロジェクトに大変なポジションで関わる事になったと思いましたよ。
まずは早速あがってきた曲を聴いて悶絶。3曲中2曲は企画意図をきちんと理解してくれたメロディーでした。ところが、SMA期待の新人、みんなまだ10代だという岡本太郎大好き4人組の作品。イキのいい8ビートのギターサウンドに乗せて「ウ~、ベビベビィ~♪」なんてノリノリで歌いまくっておる。添えられていたメッセージには「桜井さん!俺ら全員岡本なんで、やっぱラモーンズになっちゃいました!」。あれほど、あれほど「We are the world」だと言ったのに…。
それでもなんとか強引にメロディーをつなげ、歌詞を誰にふろうかという段階になり、ふと思いました。真っ白な曲を単に4分割しただけの1区画に「さあ書いて」と言われて、人は歌詞を書けるものだろうかと。歌詞を書くひとりの人間として思いました。それは、無理だと。
せめて、主題がないと。つまり、「We are the world~♪ We are the children~♪」に相当するひとくだりぐらいないと、無限に広がる言葉大陸のどこにスコップを立ててよいか見当もつかないだろうと。
で、その主題を提供するのは誰なのかと問うならば…。
そこから数日間、あたしは言葉の大地を彷徨う旅人とあいなりました。それはもう、いろーんなアーティストさんがいらっしゃる巨大プロダクションSMA。その全員が心に嘘をつくことなく歌うことのできるなにか。表現の手段や結果が違いこそすれ、かならず全員がもっているであろうマインド。それを端的に表す言葉。
近所を自転車で走っている最中、その言葉は突然脳に降臨しました。メモできるものを持ち合わせなかったあたしは、忘れてしまわぬよう必死に口ずさみながら家までペダルをこぎました。はた目には鼻歌まじりに自転車転がす陽気なおじさん。知り合いに目撃されてはいなかったでしょうか。心配です。
作詞家たちの仕事を待つ間に、音楽トラック、いわゆるカラオケの部分のレコーディング。このミュージシャンキャスティングも胃の痛い作業でした。腕っこきの猛者集うSMA。あいつがドラムでなぜ俺が呼ばれない!等の恨みを買わぬようキャスティングするにはどうしたらよいか、あちらを立てればこちらが立たず、我が人生でこれほど多くの枚数の板に挟まれたことはありません。
それでもなんとか初日のリズムレコーディング。ふたを開けたら、ももももものすごくカッコイイ!!さすが猛者集う虎の穴、ザッツSMA。とてつもない豪華セッション。先輩後輩同僚同士ナイスなコミュニケーションをとりつつも決して仲よしバンドごっこに陥らず、終始火花を散らすアツい演奏。現場の制作スタッフ陣も興奮しているのが伝わります。
「チェロ弾ける女の子がいるよ!」
「ヴァイオリンの美女もいるじゃん!」
「こうなったら男っぽいブラスも分厚くいたらいいんじゃないの!?」
等々、音楽的な視点でなくフェスティバル的視点で自由なブッキングを始める制作スタッフ陣。なるほどこのレコーディングの時点で、すでにもうフェスティバルなのですな。ならば、盛って盛って、さながらギャルメイクよろしく盛れるだけ盛る方向へ。ところで、えーっとそれをアレンジして譜面に起こしてダビング作業をするのは…。あ、プロデューサーの業務ですね、そうでした、はい!
かくしてかつて経験したことのないトラックレコーディングは実行されました。「ヘイ ジュード」を彷彿させる6分30秒に及ぶ大作に。
ミュージシャン名は後日のお楽しみとして、まずはドラム、ベース、リズムギターにアコースティックギター。ピアノとオルガンとシンセサイザーはそれぞれ別の人に。ギターソロが4人。ヴァイオリンとチェロ。トランペット、トロンボーン、テナーサックスにバリトンサックス、これはもう言わずもがなのあの人たち。いやー重ねた重ねた。巨大な船盛りに乗るだけ刺身を乗せまくった気分。タコの足とか船からびろーんとはみ出している感じ。ここにヴォーカルという名の七福神が乗船します。しかも七福神3セット強、20数名が歌うヴォーカルレコーディング…。かつて「We are the world」のレコーディングにおいて「オレそんなの歌いたくない!」とボブディランがだだこねて、仕切りのクインシージョーンズがほとほと困り果て、スティービーワンダーの仲介でようやく場がおさまった、なんて話を聞きました。そんな恐怖のエピソードがわが身に起らぬか、本当にどきどきでした。
幸いSMAにディランはいませんでした。ああよかった。それどころか素晴らしいパフォーマンスの雨あられ。ラストの合唱シーンはちょっとただごとじゃないっすよ、迫力が。
6分半の長丁場を演奏しきっていただいた夢のバンドメンバーの皆さま、ソウル丸出しの歌い手の皆さま方、中にはたった一行歌うためにわざわざ出向いていただいた方もいらっしゃいました。皆さん素晴らしかった。ありがとうございました。おかげさまで無事に全ての録音作業は終了し、今週末のミックスを残すのみと相成りましたよ。このミックス作業がまた気が遠くなりそうですが、秀俊ぐわんばりますよ!大半はエンジニアの宮島さんに丸投げして!!
まもなく音もメイキング映像もWebにて公開予定。ご期待ください!
コクーン歌舞伎「佐倉義民傳」を観劇してまいりました。中村勘三郎・七之助父子に橋之助、坂東彌十郎さんに笹野高史さん等々そうそうたる役者ぞろい。常日頃から民百姓のために身を粉にして働いてきた名主が、圧政に耐えかねお殿様を飛び越えて将軍に直訴に行ったという事件をもとにしたお話。
筋はまあそういったところで極めてシンプルなのですが、見どころはなんといってもラップ。歌舞伎にラップ。そんなんありですか。そんなんありにしちゃうところが歌舞伎という芸能だということですか。これは、どうなるか見届けないと。
聞けばラップの作詞と監修はいとうせいこうさんだとか。ちょうどいとうさんに渡したいものがあったので、どこにいるのかなーとぐるーっと会場を見渡したら目の前の席に座っておりました。なんたる偶然。お宅に尋ねても会えなかったりするのに、会える時は会えるんですね。おかげでちょいちょい解説を頂きながらの観劇。贅沢な副音声付きで楽しませていただきましたよ。
客席と舞台の間の左右に御簾が設けられ、下手には太鼓と笛そして上手にはなんとDJセットにパーカッションにエレキギターが配されておる!オーケストラピットのLとRで元禄と平成がジャムるって寸法かい!こいつぁ粋じゃねえか。そして本日のメインディッシュ。ラップをするのは主に百姓の若者たち。すなわち社会の最底辺のヤングによる叫びという、プロテストソングとしてのラップ。なるほどせいこうさん、この一点からの突破で勝ちがみえたのですね。兄さん、さすがですな。しかし、ラップシーンのメインを張るふとっちょと小男の2人組、どこかで見覚えが…。あれは、もしかして…。大至急兄さんに確認。
やはり。まごうことなきMC.IKKUさんそして小市民ラッパーことMC.TOMフロムSHO-GUNGバイ「SRサイタマノラッパー」!!!!!
こんなところで初めて生の彼らを目撃できようとは。生の声を拝聴できようとは。あの感動のラストシーン。サイタマはフクヤ市の小さな焼肉屋でライムを紡いでいた彼らが、渋谷は文化村のシアターコクーンという大舞台で並みいる歌舞伎役者を従えて堂々とラップしまくっている!韻を踏む箇所で橋之助を、彌十郎を、七之助をガヤに回らせて…。泥にまみれた百姓姿の彼らはサイタマ魂で存分に暴れまわり、千葉県佐倉市が舞台のこの物語が途中から俺には埼玉県の山奥に、すなわち秩父事件に見えてきましたよ。いやあ皆さん、サクセスされましたなあ…。映画のパート2も公開されましたか。楽しみにしておりますよ!
新しいものを取り入れたつもりが上っ面をなでただけの結果に陥り観る者全員がこそばゆくなってしまう、これは最悪の事態。そうならなかったのはひとえに古典芸能とポップミュージックを等しく愛し、同じ消化器官で両者を咀嚼することのできる稀有な人間・いとうせいこうの力といってよいでしょう。「社会の最底辺の者たちの叫びの物語である以上、2010年の舞台表現なら歌唱においてはラップを採用することが最も自然である」と、すんなり説得されてしまいます。脱帽。カーテンコールで客席からせいこうさんを呼び出し、舞台に上げ、握手を求める勘三郎さんの姿が印象的でした。そりゃ求めるよな、握手。スタンディングオベイションの波の中で、あたくしはそう思いましたよ。良い仕事をされましたなあ、兄さん。
毎度毎度、優れた表現には助けられます。それを味わう以前より世界がもっと愉しいところに見えるから。
MC.Sakuさんもいい加減油売っている場合じゃないですなぁ。
先週の木曜、大阪ひとり旅をかましてまいりました。完全なる道楽旅行。
新横浜の新しい駅ビル3Fタカシマヤフードメゾンはお弁当に甘いもの更にはイートインも充実しており、私の大好きなスポット。朝から中華弁当でもカツ丼弁当でもいけますよ、本気出せば。しかし本気は上方にとっておいて、無難に制服のエロい神戸屋さんでミックスサンドをひとつ購入。道すがらのスターバックスをあえてスルーしてホームのキオスクにて同社のカフェオレを購入。その心は、そっちの方が安いから。朝の駅構内を液体持って歩くのも嫌だし。
小田原あたりまでぼーっと車窓からの眺めを味わい、しかるのちにサンドイッチをぱくついておる最中ふと気がつきます。
心が軽い。なぜか。ライブでもないのに新幹線だから。
本番がないとこうも電車移動というものは気楽なものか。今まで気がつかなかったけれど、乗り打ちの日ってえのはそれなりに心に一物かかえて移動しておったのだなあと、カフェオレちゅーちゅー吸いながら感じ入ったのでありました。
食後は読書。内田裕也さん著「俺はロッキンローラー」。頭からお尻までずーっと吸い込まれっぱなし。去年の「俺は最低の奴さ」も最高でしたが、1976年のこの書を読むと、氏がいかになにひとつぶれることなくロックンロールし続けているかを思い知らされ、心身ともに震えました。近田春夫さん曰く、裕也さんは存在そのものがアートであると。さすが、うまいことおっしゃいます。その人が生みその人から肉体的に独立した物体なりテキストなりヴァイブレーションをして作品というのでなく、内田裕也さんを突き動かす推進力そのものがアートであり、ロックンロールという作品なのだと。あー面白かった。大変ごちそうさまでした。
さて大阪入り。まずは14時からの文楽鑑賞。の前に黒門市場で腹ごしらえ。末廣亭のビーフシチューを。ハンパねえガッツと気品、それでいて親しみやすい味。価値ある1500円。あーおいしかった。こちらもごちそうさまでした。
千日前通りを渡ればすぐに国立文楽劇場。やっぱ本場で観る文楽さんは違いますな。会場の和やかな雰囲気やお客さんの気楽さから、この街の芸能なんだな~という臭いが、すなわちストリート感がぐいぐい感じられます。加えて料金も東京に比べてぐっとリーズナブル。ランチの贅沢を帳消しにしてお釣りがくるほどに。偉い。さすが商人の街。
この日のストリート感はいつも以上。「文楽鑑賞教室」なる出し物に、会場の8割は制服の高校生なのでした。お客を舞台に上げての人形の実演なんかには子供たちも食いついておりました。しかし文楽さん、やる事が容赦ない。その後約90分にわたり「ひらかな盛衰記」をたーっぷりと。いつものように、濃く、濃く。
木曽義仲亡き後の忠義話を重ぉくたっぷりとした間で聴くには彼らはあまりにも若く、集中力はあまりにも短く。60分を超えたあたりで床が回り、次の太夫さん三味線さんがくるっと登場したときには「えっ、まだあんの!?」というどよめきが。はらはらする俺。そりゃここからが見えを切って見せるイイとこなんだけど、その前でやめても良かったんじゃないの?このひとたち完全に限界でしょ。騒ぎ出すばかちんがひとりぐらい出てくるような悪い予感が…。はらはらはら。
こういうのを杞憂というのでしょう。
殺陣のシーンで三味線が突然、
「ぃよーーーーーっ!!」
とシャウト。そこから息をもつかせぬ叩き撥の雨あられ。太夫も三味線も、華麗な中にも殺気丸出しの鬼気迫る演奏で会場のうだった空気を一喝します。鬼気迫るのに、ノリノリ。メタリカだ。これは、リフで攻めまくるメタリカだ。生音なのに、メタルだ!!
いやーでも三味線・野澤喜一郎さん。明らかに脅しにかかっていたでしょ、眠そうな、というより眠っていた高校生どもを。しかし、凄いです。言葉やびんたでなく、三味線で人の背筋を一瞬でぴんと伸ばしてしまう迫力と説得力。感動しました。本当に、ごちそうさまでした。
日も傾き始めて今度は梅田へ御堂筋線で移動。サウストゥサウスの調べが心をよぎります。目指すは梅田AKASO。この日はなんとYo-Kingさん主催のイベント。出るんじゃなくて観に来ちゃいました。大阪まで。
だってこの日のゲストはみうらじゅんさん。ふたり揃ってなにを歌いだすのか喋りだすのか。みうらさんはたったひとりで弾き語りをするのか。10年ぐらい前にみうらさんはYo-Kingさんに「いつか絶対スリーフィンガー対決しようよ。どっちが長く弾き続けられるか」と事あるごとに迫っておりました。今夜夢は実現するのか。大阪のお客さんは二人のおじさんの無言のスリーフィンガーを延々と聴かされる羽目になるのか。
これはもう、確かめに行かないと。
わざわざ休みをもらって、家族の許しを得て観に行くYo-Kingさんイベント。その名も「王様のアイデア」だそうです。昔フジテレビで「殿様のフェロモン」というとんでもない深夜番組がありましたが、それは別にもじっているわけではないのでしょうか。「アイデアの王様」でなく「王様のアイデア」であるところにどきどきさせられます。すなわち、王様級の凄いアイデアが出ますよ!なのではなく、あくまでも「王様」が何か思いつきましたよ!であると。それが王様発である以上、アイデアの内容いかんにかかわらず、やるよ!と。犬を蹴っ飛ばしたら死刑とか。コマネチを嫁にしたいとか。おおお、どきどきさせられます。
そして、確かめに出向いたわけであります。
懸念されたスリーフィンガー対決もなく、みうらさんの本気歌は素晴らしく、キングさんの新曲は「そういうのは真心にもってこいよ!」と嫉妬心を湧かせる出来であり、ビールもすすみ、とっても楽しい時間を過ごさせていただきました。
本番前に楽屋に挨拶に伺ったところ、「せっかく来たんだからアンコールのボブディラン2曲、ギター弾いていきなよ。」なんてノリに。王様のジャブ。物見遊山気分は一気に昇天。いつもの一物かかえたミュージシャンモードに。3杯目のビールは控えて本編終了。舞台袖に赴いて待機。
舞台に呼びこまれ、センターに板ついた瞬間、やられました。王様のアイデアが、フィラメントがフラッシュされたのでしょう。
「じゃあ桜井、一曲歌って。ひとりで。みうらさん、ちょっと僕ら楽屋で休憩していましょうか。では皆さん、桜井秀俊で“サマーヌード”!!!」
なんとか歌いきったあとはみうらさんと王様に挟まれての駄目だし大会。普通に出来てカチンときた、手拍子もらって腹立つ、ようこちゃんのパートまで歌って深追いしすぎ…云々。
恐るべし、「王様のアイデア」。Not “King of idea”,but”An Ida of the King” .
でも、とっても楽しかったです。会場でビール、そして打ち上げもおごってもらっちゃいました。AKASOさん、キョードー大阪さん、王様、ありがとうございます。大変ごちそうさまでした。
久しぶりのみうらさんとのお酒は、やっぱり最高に楽しかったです。ありがとうございました。あらためて、旅行に行きましょう。場所はどこでもいいです、呑めれば。
ごっつあんでした。あーおなかいっぱい。
横浜は桜木町に「にぎわい座」という大衆芸能専門の小屋があります。そこで毎月開かれる「名作落語の夕べ」なるイベントが好きでちょいちょい通っておりました。先日星になられた玉置宏さんが開館以来館長を務められていたのですが、当イベントにおいては毎回館長自ら開演前と中入り後にこれから語られる作品の解説をされておりました。その語り口があんまり見事で、アフター宏、いかにもやりにくそうにしかし頑張る噺家さんたち。そんな火花がともすれば噺そのものよりも楽しみで通っていたあたくし。
館長が亡くなられてからしばらく足が遠のいていたのですが、先週の土曜日に行ってまいりました。ネットでチェックしたらまだ続いている。続いているのなら見届けようじゃないの「名作落語の夕べ」、と。メタリカのTシャツを着て。彼らもまた、メタルし続けている。
とはいえやはり寂しかった。もちろん噺家さんたちの話芸は素晴らしく、大いに唸り、大いに楽しませていただきました。しかしやはり…。半ば覚悟はしておりましたが、失ったものの大きさを痛感せざるを得ないひとときとなってしまいました。二度と聞くことのできないあの低音と独特のスローテンポ。
「一週間のご無沙汰でした。玉置宏でございます。」
館長、もうご無沙汰さえできないのですね。
野毛の街でしっぽり呑んで帰ろうかと呑み屋街をひとぐるり。週末の夜でなんだか騒がしく(景気という意味では喜ばしいことですが)、ひるんでしまい桜木町の駅方面へ。新しく建った駅ビルのレストランフロアでもチェックしようかと覗いたら、どの店も横浜の夜景をたっぷり楽しみながら食事できるロケーション。若い男女のこれまた喧騒。失ったものを胸に刻みつけながら一杯やるような状況では、まるでない(都市再開発の順調な滑り出しという意味では、そりゃもう喜ばしいことですが…)。
京浜東北線で腹をぐーぐー鳴らせながらおらが街へひょろひょろ降り立ち、吸い込まれるように入ったホルモン焼きや。若い店員の兄ちゃんがおしぼりを持ってくるなり、
「いらっしゃいませ!お客さん、メタリカのTシャツですね!いやー僕も大好きなんですよぉ!はいナマ一丁、ぁぁあありがとうございまぁす!!!」
誤算でした。メタルは、ファンの方がアツいのです。とても「バンドは知らないけどデザインがおもしろいから着ているんです」などと口にできません。つぎつぎと繰り出してくるメタルトークをなんとかレシーブ。肉を焼きながら心の中でクレイジーケンバンドの「けむり」を熱唱。なんとか己を鼓舞し、いち音楽人として音楽ファンの期待を裏切らぬよう、焼いて、食って、喋りました。師、曰く、
“自分をハゲまして 耐えながら騒ぐ
唾を飛ばしながら しゃべりまくる良い男”
さすが。いい歌、書かれます。
しみじみ呑むことには失敗しましたが、メタル兄さんとは「スレイヤーはスラッシュし続けていて偉い。いわんやアンヴィルをや。」という結論に落ち着きました。変わる桜木町に変わらぬ落語とメタル。
新しいものを手に入れれば何かを失う。これが世の理といいます。
それが本当なら、友よ今すぐ街に出よう。今自分が手にした何かによって同時に何を失ったかをその都度見つめながら生きるということが、とても大事なことのように感じられるのさ。
ふり返ることとはちょっと違う。それを失くしてまで自分は何を欲しているのかを、いつも知っておく必要があるのではないか、そんな気がするのです。
同時に、新しい何かを無視したときは、それを拒否して自分は何を守ろうとしているのかも。
友よ。日の当たる道に隠された罠をくぐりぬけて、行け。
千鳥足の帰り道。気づけば街灯の約半分がLEDになっている。目のど真ん中にどひょーん!と飛び込んでくるLED光。その隣の蛍光灯が、今までよりいっそう悲しみを帯びた光に見えます。
聞くところによると、白熱球というものは各社で生産を終了しているそうな。さよならフィラメント。さよならエジソン、あの温かい光。かつて炎の灯りから世界の夜を変えてしまった白熱球。光が変われば見えるものだって変わる。文字通り、世界が変わる。21世紀になって、また世界は変わります。全てはどひょーんと照らされる世界に(防犯及びエコロジーという意味ではそりゃもう喜ばしいことですが、ええ…)。
なにかがなくなる時、それは新しい歌を生みます。
雨上がりの陽気に初夏が香ると、気の早い夏の装いがしたくなります。
先日サングラスを買いました。自由が丘の白山眼鏡店で。ちょっとふんぱつして。
丁寧な仕事が定評の同店。柄の角度から耳までの距離まで、これでもかというぐらい細かい微調整に余念がありません。装着感が悪いわけがない。
今週は良い天気だそうです。降り注ぐ紫外線。訪れるであろうニューサングラス日和。サングラスをかけると、おのずとなんかかっこつけちゃいます。そのつもりはないのですが、普段からよく「かっこつけている」と指摘されがちな僕。サングラスをかけて往来を歩けば一体どんだけスカしているのでしょうか。ノンスタイルのひとみたいな感じなのでしょうか。
それはそれとして、ずり落ちる。
ずり落ちがちなのです。本日試しにかけて歩いたおニューのグラサンが。ちょいちょい右手中指で押し上げている自分に気づくのです。その都度「怒るでしかし」と吹き出しがつきそうな僕なのです。
確かに多少デカめではあるこのニューグラサン。重いから落ちるのかな。しかしあれだけ丁寧な調整を重ねたというのにこのずり落ち加減。なにか原因があるに違いありません。鼻にかけるところの角度か大きさか、それとも素材が汗に滑りやすいものであるからか。うーん、ずり落ちる。
帰宅して僕は気づいたのです。
ずり落ちがちなのはこのニューだけではない。世の中のメガネというメガネが、ずり落ちがちな俺ではなかったか?それはとりもなおさずどういうことか?
そして僕は悟ったのです。
俺は、俺の鼻は、低い。
鼻が低ければ地面に対する傾斜はそれだけ急になるわけで。傾斜が急であればそこに置かれた物質は引力によって地面に向かいやすく。よほどの抵抗を物質の底面に施さなければ落ちるけで。拝啓ニュートン、自然科学は残酷です。
メガネなんかはその最たるもの。柄が広がるあるいは汗をかく等で抵抗が小さくなればメガネは地面を目指し、鼻の崖っぷちで止まり、俺は大村昆になる。おニューのグラサンで、オロナミンC。あまり「元気ハツラツ!」という気にはなれません。
低い、というか小さいのか。
だとしてもアレですよ。鼻の大きな男はナニがどうだとかいう神話がまかり通るこの世の中。そうだとするならば鼻の小さな男のナニはその逆だということになるではありませんか。失敬な。あれ、すでにそう思われていたのか?
自分の顔は自分では見られない。鏡に映った己の顔など、所詮鏡の中の世界のそれにすぎません。自分の顔なんて、きっと他人のほうがよく知っていることなのでしょう。
自分の寝顔に自分の背中、自分のライブなど、あまりにも近すぎるという理由でこの目で見ることのできない一度でいいから見てみたいもの。くたばる寸前にエクトプラズムにのってやっと見ることができるのかな。
肝心なものをこの目で確認することなく、俺たちは生きています。
P.S一郎くん。アフターオザケンの飲み屋で君が熱く語っていたM.I.Aの新曲とそのPV、チェックいたしました。おっしゃるとおりもの凄かったです。兵士の肩のアップリケは思いっきり星条旗。これはさしものYou Tubeも「勘弁してくれ」と言いますわ。我が国で例えるなら拉致被害者のお子さんが音楽で闘いを挑んでいるようなものだもんね。あえてスキャンダラスな方法を選択するあたりに、一刻を争う表現の切実さを感じます。あしたのジョーでいうならば金龍飛。繰り広げらる必殺の“蝶々”にジョーは力石を想い、ジョーのパンチを打つ、打つ、打つ。秀俊も秀俊のパンチを打つべし、打つべし、打つべし。
夏は来ぬ。グラサンは落ちぬ。
明日はどっちだ。
5/20木曜17時。ヒデロー(真心ブラザーズのライブバンド・MB’sにてトランペット担当)より電話が入る。
「今日の神奈川県民ホールでの小沢建二のチケットが二枚あるんだけど、俺、急に行けなくなっちゃってさ。桜井くん、行けない?」
そういうことなら行きましょうと。開演は何時と聞けば18時半だと。あと90分。誰か道連れは見つかるか。地元友人あるいは東横線沿線住まいならその時刻に到着可能か。とりあえず東横線組の一郎くんに電話。
「うん、大丈夫。行けると思う。」
コンサート開始直前で簡単につかまり簡単に会場にのこのこ現れてしまう40代男ふたり。社会的に俺たちは大丈夫なのでしょうか。このモラトリアムは果たして無罪なのでしょうか。
そんな問題は先送りにしてLife is coming back!オザケンライブをたっぷり堪能した我々。
ご本人の健在ぶりやバンドの熱演はもちろんのこと、お客さんの激情ともいえる異様な高いテンションにぶったまげました。あの、凄まじい大合唱はステージ上に届いていたのでしょうか。おいらのサーフィン師匠東京スカパラダイスオーケストラ北原さん(相変わらず太ぉおい音でしたよ!)そして同じくおいらのラグビー観戦師匠ピアノの中西さん(アコピもクラビも最高すぎて溶けちゃいましたよ!)、奇しくも舞台上で競演なさっていた両師匠、あの奇跡の16小節は届いていましたか?
23日に行こうかどうか迷っていた赤レンガ倉庫のGreenroom Fesは大雨だったのでチケット買わずによかった。おとなしく家で本を読んだりレコード聴いたり打ち込みやったりスリーフィンガーの練習をしたり。雨とスリーフィンガーは、なんだか似合っていました。
明けて本日24日は午前中から半蔵門の国立劇場へ!今回の文楽公演、なんとか千秋楽に駆けつけることができました。ランチ前から鶴澤清治ゴッド師匠の鋭い切っ先を雨あられと浴び、すっかり闘魂ならぬ義太夫ワクチンを注入完了。とどめに嶋太夫さんの進化するクドキの犯罪的色気にあえなく昇天。月曜の昼から舞台上で熱演する60代のおじさん二人に「このひとになら抱かれてもいい」と本気で思っている小生。ああ、モラトリアムが止まらない。
明日は文楽の音楽的要素に注目したいわゆる“素浄瑠璃”のワークショップに参加いたします。どうせ異常に勉強になるんだぜ。勉強とばっかり思っていたけれどキューンレコードの社長に以前熱弁したら、
「桜井くん、それはただの道楽だよ。」
と言われました。
江戸時代なら身分制度すなわち士農工商の枠からはみ出してしまった俺たちミュージシャン。モラトリアムが止まりません。




