*超長文です
2009年も終わりに近づいてきたので、自己満の2009年のベストアルバムを5枚選びたいと思います。もちろん僕の個人的なベストアルバムなので、共感できる人もいるだろうし、そうでない人もいるだろうし、一般的な2009年のベストアルバムとは言いがたいものであるという事は、最初に断っておきます。「ベスト」という言葉も誤解を招きやすいので、言い換えれば「今年発売されたCDのなかで個人的にけっこうよく聴いて、なおかついろいろと語りたい」5枚ってことです。ちなみに5枚選びましたが、特に順位とかはありません。

Tyondai Braxton『Central Market』

まず1枚目はBattlesのTyondai Braxton(タイヨンダイ・ブラクストン)のソロアルバム『Central Market』です。個人的に今年はけっこうジャズを真面目に(今までが不真面目だったわけじゃないけど
)聴き始めた年でした。余談ですが、マイルス・デイヴィスの71枚組のボックスを買ったりして…これです↓
ロックから音楽を聴き始めた人間にとって、ジャズには純粋な驚きと感動があります。例えば、モードジャズとか。最近のポップミュージックでも「コード進行」っていう概念は普通ですよね。音楽の授業で習ったと思うんですけど、それぞれのコードに役割があって、進行していくっていう。モードというのは、コードと違ってそれぞれのモードにそういう役割が無くて、対等な関係にあります。まぁ、とにかくそれまでのコード進行に縛られた音楽から、より自由になる可能性が生まれたわけです。気になる人は詳しくはネットで調べてみてくださいね
それにフリージャズ。これもアーティストによって「何からフリーになることを目指すか」っていうのが違うので、なかなか一言では片付けられないけど、聴いてて本当に面白いんです(なんだこれ
って感じで笑えるっていうのも含めて)。アンソニー・ブラクストン先生の『For Alto』や『3 Compositions Of New Jazz』なんて作品は、ほんとに最高です
僕みたいにとにかく変な音楽、新しい音楽、自分の知らない音楽が聴きたいって人にはオススメします。
前フリがだいぶ長くなりましたが、タイヨンダイはこのアンソニー・ブラクストンの息子。安易に父親と並べて語るのもどうかと思いますが、タイヨンダイもまた父親のフリージャズと同じく、(本人が自覚的かどうかは分からないけど)ポップミュージックを更新する試みをしていて、本当にスリリングです。
僕は「何と何を足した感じ~」のような折衷的な音楽が、あまり好きではありません。というより好きになることが少ないと言った方がいいかな。やはりそういう音楽は型にはまりがちというか、新しい刺激や楽しみを発見できることが少ないので。
そしてこの『Central Market』。ストラヴィンスキーの『Song of the Nightingale』からインスピレーションを得た作品ということなのですが、ストラヴィンスキーを現代的にポップミュージックとして消化したと言ってしまうと安っぽくなるけど、また新しい音楽の可能性を感じる作品です。これは音楽だけに限ったことではないですが、全ての過去の作品がアーカイヴ化されて、そこからの組み合わせでしか何かを作れないポストモダン化した現代。僕自身も「もうこれからは新しいロックなんて出てこないんだろうな…」とぼんやりと感じていたけど、『Central Market』を聴いて、過去の再構築でもオリジナリティーのある新しい音楽は作れるし、まだまだロックという音楽にやるべき事は数多くある
と思いました。
長々と書いてきたけど、なにも難しいことは考えなくても、聴いてて普通に楽しいポップなアルバムです

Tortoise『Beacons Of Ancestorship』

Tortoiseは本当に期待を裏切りません
通算6枚目のオリジナルアルバムですが、「ポストロックかくあるべき
」ってサウンドです。
ここで「ポストロックとはなにか」なんて書くつもりはありませんが(そんなの書いててもきりが無いし)、西欧的論理を西欧的論理で乗り越えようとする姿勢というのか、計算しつくされた狂気というのか。ジャズ的なポリリズムともプログレ的な変拍子とも違う、独特のタイム感を持ったジョン・マッケンタイアのドラムは、やっぱり最高にかっこいいです
1曲目の「High Class Slim Came Floatin' In」から、全体のアンサンブルがとにかくかっこいい
前述したTortoiseがリズム的な面で「ポスト」だとすると、Sonic Youthはハーモニー的な面で「ポスト」なバンドです。以前にも書いた気がするけど、すでにこのバンドの演奏は伝統芸能の域に達していると思います。『The Eternal』も、良い意味でいつも通りの素晴らしい作品でした。
1オクターブを12等分した12平均律、そして長調・短調という考え方。そういうルールを設定することで西洋音楽は爆発的に発展・流通していったわけですが、Sonic Youthは12音からこぼれ落ちた音や、長調・短調という二言論の枠組みには収まらない不協和音を、ポップミュージックの中に落とし込んだというか、ノイズを飼いならしてポップなものになり得ると証明したというか…。これも前にも書きましたけど、Sonic Youth独特のギターの不協和音を聴いてると、心地よくて眠くなってきてしまって、不協和音っていったいなんなんだろ?という気がしています。もしかしたら、協和か不協和かなんて、耳が慣れてるか、慣れてないかの違いなんじゃないかと。
すでに20年以上のキャリアのあるSonic Youthですが、今でも「アングラの帝王」や「オルタナのゴッドファーザー」みたいなイメージのままだし、おそらくこれからもそうなんだろうと思います(少なくとも僕が生きてるうちぐらいは)。でも、これからもっとこういうバンドが増えていくんだろうなぁ…っていうか増えていってほしいなぁ、と思います。長調が明るいとか、短調が暗いとか、人間の感情は二元論で割り切れるほど単純じゃないし、Sonic Youthのような音作りが、これからもっとリアリティーを持っていくことでしょう。
Sonic Youthの曲は、一聴するとただのノイズなんだけどコミカルだったり、アルペジオのゆったりした曲なんだけど微妙に歪んでて気持ち悪かったり、そのへんが絶妙で。この感覚は今のところ、Sonic Youth以外のバンドからはあまり感じられません。
Wilcoです。このアルバムは一言で言うと、とにかく気持ちいい
…って、それだけで終わっちゃうのもアレなんで
「オルタナカントリー」だなんて言われるバンドですけど、確かにそのとおりです。ただ、「オルタナカントリー」とかそういう胡散臭い言葉を使っちゃうと、逆に敬遠する人がいそうで、余計なお世話だけど心配してます
「オルタナ」っていうと変に実験的っぽい印象を与えたり、「カントリー」っていうとそんな古臭い音楽聴かねぇよ
って若者たちがなりそうじゃないですか
このバンドも、アメリカのルーツミュージックを現代的に解釈しているとか言うと、安っぽくなっちゃいますが、アメリカのポップミュージックの奥深さを感じさせるバンドです。アメリカを舞台に、ヨーロッパとアフリカの文化が出会って、そしてブルースやジャズやカントリーが生まれていく、そういうダイナミズムをこのアルバムからも感じます。「このアルバム」と書いたけど『(The Album)』というタイトルもいいですね
目新しくはないはずなのに、圧倒的に新しい、現代最高のロックバンドのひとつだと思います、Wilcoというバンドは。
どうせそう来るんだろって思ってたのはわかりますよ
やっぱり、このアルバムは外せません
予想以上に長くなってきたので、このアルバムに関しては、近いうちに別に書きます










































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